成長ホルモン投与で病気を発症させたプリオンはタンパク質性の病原体です


1963年にスウェーデンで初めて開発されたヒト成長ホルモン製剤が、クロイツフェルト・ヤコブ病にかかったことが問題となりました。
その原因がタンパク質性の病原体である「プリオン」だったといわれています。

また、遺体脳由来のヒト成長ホルモン製剤投与でも同様の問題が起きています。しかし、現在では人工的に作られた製剤が使用されているため、心配はないといえます。

現在は遺体脳由来のヒト成長ホルモン製剤は使用されていません

成長ホルモン製剤を投与することで子どもの低身長を治療していくというのが、成長ホルモン治療です。この成長ホルモン治療で使用する製剤の安全性に関して不安を抱かれている方も多いでしょう。

成長ホルモン製剤がスウェーデンのカビ・ビトラム社によりはじめて開発されたのは、1963年のことでした。
クレスコロモンと呼ばれる名称のヒト成長ホルモン製剤で、ヒトの脳から抽出されて製造されたものだったといいます。

この製剤を投与した患者が、難病といわれている「クロイツフェルト・ヤコブ病」を発症したことが問題となりました。
クロイツフェルト・ヤコブ病は脳を蝕んでいく恐ろしい病気だといいます。

この問題は米国立衛生研究所の発表で明らかになったとされています。
1980年以前には、低身長症を抱える子どもの治療にヒトの遺体の脳から抽出したヒト成長ホルモン製剤が使用されており、これがクロイツフェルト・ヤコブ病の感染原因だったといわれています。
クロイツフェルト・ヤコブ病の直接的な原因はタンパク質性の病原体である「プリオン」という物質だったと考えられています。

しかし、1985年以降はヒトの遺体の脳から抽出したヒト成長ホルモン製剤は使用されておらず、遺伝子組み換え技術を用いた人工的な成長ホルモン製剤が使用されています。

現在使用されている製剤は「ソマトロピン」と呼ばれるものになります


現在ではヒトの遺体の脳から抽出されて製造された製剤は使用されていないとご説明しました。

現在使用されている成長ホルモン製剤の代表的なものが「ソマトロピン」と呼ばれる製剤になります。
この製剤は生物由来の遺伝子組換え分泌型ヒト成長ホルモン製剤となるため、クロイツフェルト・ヤコブ病を発症することはありえないと考えられています。

ソマトロピンは191個のアミノ酸から構成されているペプチドのことで、注射剤の形状で投与されるのが一般的です。ソマトロピンは子どもの身長を伸ばす作用があるとされており、動物実験によりその効果が実証されています。

成長ホルモン分泌不全性低身長やターナー症候群、軟骨異栄養症、慢性腎不全などの特定疾病が原因の低身長を治療するのに用いられています。
ソマトロピンの副作用を心配される方もいるでしょうが、ソマトロピンは正しい使用法を守れば、重大な副作用を起こすことはまずないといえます。

きちんとした製剤を用い、適切な使用方法を指導してもらうためにも、信頼できる病院で治療を受けることをおすすめします。

成長ホルモン治療を受けるメリットは大きいです

子どもの低身長症を治療するには、早期に成長ホルモン治療を開始することが理想的とされています。
骨が成熟してしまうと、身長の伸びも止まってしまう可能性が高いからです。

ここでは、成長ホルモン治療を受けるメリットについてご紹介いたします。

成長促進効果が感じられる

成長ホルモン治療を開始したほとんどの子どもは、治療前と比べると大きく身長を伸ばしているといいます。治療前は4㎝以下しか身長が伸びなかった子どもでも、治療後は8㎝以上も身長を伸ばすケースもみられます。成長ホルモン治療を継続していくことで、平均身長に近づくことが可能です。

通院の必要なく治療できる

子どもの学校や習い事、親御さんの仕事の都合などでなかなか通院が難しいと考えてしまうご家庭もあると思います。しかし、成長ホルモン治療は基本的に在宅で行うものです。自宅で毎日成長ホルモン製剤を注射することになりますから、家庭のペースを崩すことなく治療を行えます。

(まとめ)成長ホルモン投与で病気を発症させたプリオンとは何?

1.成長ホルモン投与で病気を発症させたプリオンはタンパク質性の病原体です

1963年に開発されたヒト成長ホルモン製剤の投与により、クロイツフェルト・ヤコブ病が発症することが問題となりました。しかし、1985年以来は人工的に作られた製剤を用いているため、発症の心配はないと考えてよいでしょう。

2.現在は遺体脳由来のヒト成長ホルモン製剤は使用されていません

1980年以前に使用されていた成長ホルモン製剤はクロイツフェルト・ヤコブ病の原因となるタンパク質性の病原体である「プリオン」に汚染されていたといいます。しかし、現在は遺伝子組み換え技術を用いた人工的な成長ホルモン製剤が使用されています。

3.現在使用されている製剤は「ソマトロピン」と呼ばれるものになります

現在、成長ホルモン治療で使用されている製剤は、生物由来の遺伝子組換え分泌型ヒト成長ホルモン製剤である「ソマトロピン」になります。ソマトロピンは使用方法が適切であれば、重大な副作用を起こす心配はないと考えられています。

4.成長ホルモン治療を受けるメリットは大きいです

子どもに成長ホルモン治療を受けさせるメリットはたくさんありますが、中でも成長促進効果を感じられるという点は大きいといえます。また、成長ホルモン治療は在宅で行うため、家族のペースに合わせて治療を続けていくことができます。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
齋藤まい医師
さいとう まい/Mai Saito

 

経歴
2006 年 関西医科大学 医学部医学科 卒業
療法人藤井会 石切生喜総合病院 臨床研修医
2008 年 大阪市立総合医療センター 整形外科勤務
2010 年 医療法人浩仁会 南堺病院  整形外科
2011 年 医療法人宝持会 池田病院  整形外科
2016 年 西新宿整形外科

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 齋藤まい医師