低身長の治療が必要とされる基準は成長曲線で「-2SD」以下に該当する場合です


子どもが低身長であるかどうかを判断する基準として成長曲線が用いられていますが、このグラフ上で「-2SD以下」に該当する子どもが、低身長であると判断されます。
「-2SD以下」といってもイメージがしづらいかもしれませんが、これは同じ性別の同じ年齢の子ども100人が身長が低い順で並んだ時、前から2~3人目の子どもがそれにあたります。

成長曲線は子どもの成長過程を把握するうえで、とても重要なものになります。
専門医療機関のWEBサイトなどから成長曲線のファイルをダウンロードできるので、日々の成長の記録に役立ててみましょう。

「-2SD」以下に該当した場合は治療の前に低身長の検査を行います

成長曲線にて「-2SD」以下に該当したとしても、その全ての子どもが低身長を引き起こす病気を抱えているとは限りません。
たとえ「-2SD」以下の身長であっても、そのうち9割近くの子どもは検査をしても正常であり、低身長の治療が必要だとされる子どもの割合は1割未満です。

現時点では低身長の子どもでも、その後身長が伸びるケースも多く見られます。
1年の間に5歳の子どもでおよそ5cm、10歳以上の子どもで4~7cm伸びるというデータもあり、もっと伸びる可能性もあります。
しかし中には身長の伸びにくく、何歳になっても「-2SD」の基準を下回ってしまうケースもあります。

その場合は事前検査が行われ、これまでの身長の伸び方を成長曲線に反映させ、分析する作業を行います。過去の身長の伸び方を基にグラフを作成するので、できれば毎月の身長を記したメモなどがあると良いでしょう。

次に骨端線の状態を調べるために手のレントゲン写真を撮ります。
骨端線は成長線とも呼ばれる軟骨組織であり、身長に大きく関与する部分になります。
思春期を過ぎて一定の年齢になると骨端線の周囲にある細胞が硬くなり、いわゆる骨端線が閉鎖した状態となって、身長がそれ以上伸びなくなります。

また血液検査では、ソマトメジンCという骨の成長に関わるホルモンを測定することで成長ホルモンの分泌状況を確認します。
成長ホルモンの量が多いとソマトメジンCも増えることから、このような検査を行います。
ターナー症候群などが疑われる場合は、併せて染色体の検査をし、ほかにも尿検査などを実施することがあります。

成長ホルモン分泌不全性低身長の可能性がある場合は精密検査を行います


レントゲン撮影や血液検査を行った後、成長ホルモン分泌不全性低身長が疑われる場合は、さらに精密検査を受けることが必要となります。
精密検査では成長ホルモン分泌刺激試験を行いますが、成長ホルモンの分泌を促す薬剤を投与することで、成長ホルモンの分泌を調べます。
数回の採血を行い、最低2種類以上の薬剤を投与しますが、複数の薬剤を使用するのは体質によって薬剤に反応しないことがあるからです。

この検査結果で成長ホルモンの低下が見られると、成長ホルモン分泌不全性低身長の基準に該当する可能性が高いということになります。
しかし正常と診断された場合でも、実は成長ホルモンの分泌が低下しているというケースもあり、さらに別の検査を行うことがあります。

低身長の治療はなるべく早く始めることが効果的です

低身長の治療をいつから始めなければいけないというルールはありませんが、治療を開始する基準として、低身長の治療を受けることが認められた最低年齢の3歳から行うことが推奨されています。
早く治療を開始したほうが良い理由としては、早く治療を始めれば始めるほど、一般的な身長の基準に近づく可能性が高まるからです。

とはいえ骨端線が閉じる前であれば成長ホルモンの投与が有効なので、身長を伸ばすチャンスはあります。成長ホルモンは副作用のリスクが低く、体調が悪い時やほかに薬を飲んでいる時でも投与ができる、とても安全性の高いものです。

専門医療機関では低身長の治療についての説明会を定期的に開催しています。
低身長の治療を少しでも考えているのであれば、まずは説明会やカウンセリングに赴いて話を聞いてみましょう。

(まとめ)低身長の治療が必要とされる基準とは?

1.低身長の治療が必要とされる基準は成長曲線で「-2SD」以下に該当する場合です

子どもの低身長を判断する基準としては、成長曲線において「-2SD」以下に該当するかどうかを見極めることになります。同性で同年齢の子ども100人を身長が低い順に並べた時に、前から2~3人の子どもが低身長と判断されます。

2.「-2SD」以下に該当した場合は治療の前に低身長の検査を行います

「-2SD」の基準以下となった場合、低身長の治療を開始する前に各検査を行うことになります。骨端線を確認するためのレントゲン撮影、成長ホルモンの分泌を調べる血液検査などを行い、さらに必要があれば染色体の検査も行います。

3.成長ホルモン分泌不全性低身長の可能性がある場合は精密検査を行います

成長ホルモン分泌不全性低身長の疑いがある場合は、成長ホルモン分泌刺激試験を実施します。成長ホルモンの分泌を促す薬剤を最低2種類以上投与し、その結果によって診断しますが、さらに別の検査が必要となることもあります。

4.低身長の治療はなるべく早く始めることが効果的です

低身長の治療を始める年齢の基準としては、なるべく早く行うことが良いとされています。早く治療を始めれば始めるほど、早い時期に標準的な身長に近づく可能性が高まります。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
齋藤まい医師
さいとう まい/Mai Saito

 

経歴
2006 年 関西医科大学 医学部医学科 卒業
療法人藤井会 石切生喜総合病院 臨床研修医
2008 年 大阪市立総合医療センター 整形外科勤務
2010 年 医療法人浩仁会 南堺病院  整形外科
2011 年 医療法人宝持会 池田病院  整形外科
2016 年 西新宿整形外科

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運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 齋藤まい医師