成長曲線の記録をつけることで低身長症などの疾患を見つけることに役立ちます


子どもの発育を把握するうえで成長曲線は欠かせないものとなっています。
平成26年4月に「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、子どもの発育を評価することを目的に成長曲線を活用することとなりました。

これは従来行われてきた座高検査の廃止に伴い、子どもの発育に問題がないかどうかを把握するうえで重要な役割を担っています。
もし低身長や肥満などの正常ではない成長曲線であった場合は、速やかな対応がとれることが大きなメリットです。

また正常な成長曲線であっても、引き続き経過を見守ることが大切です。

成長曲線の記録をつけることで低身長の治療を早い段階で開始できます

身長が伸びるスピードやタイミングには個人差が表れますが、一般的には乳児期と思春期に最も活発になるとされています。
思春期は男の子で10~17歳、女の子で8~15歳頃と言われており、成長曲線をグラフ化することで、子どもが正常に発育しているかを見極めることができます。

身長が他の子どもより早く伸びたとしても、その後も身長が伸び続けるとは限りません。
思春期早発症などで身長が早く伸びている可能性もあり、身長が伸びるタイミングが早かった分、身長が伸びなくなるタイミングも早く訪れることがあります。

このような疾患を早期発見するためにも、成長曲線の記録は貴重なデータとなります。一時的な測定値だけでは、子どもの成長をすべて把握することは難しいと言っても過言ではありません。

成長曲線は専門医療機関のWEBサイトからもダウンロードすることができ、学校だけでなく家庭内でも記録をつけることができます。
成長曲線の記録から低身長が疑われる場合は、未就学であればご家庭から、就学しているのであれば学校から専門医療機関へ直ちに連絡をすることができます。

このような迅速な対応は子どもの低身長を治療するうえで、とても大切なことになります。
なぜなら低身長の治療で使われる成長ホルモンは、思春期を過ぎた子どもに投与しても効果が出ないことがあるからです。
成長曲線で日頃から子どもの成長を把握していれば、正常ではない数値を発見した時にすぐに治療を開始するための行動を起こすことができます。

骨端線が閉じると成長ホルモンを投与しても身長を伸ばす効果はありません


低身長の治療で使われる成長ホルモンは、身長を伸ばすのに優れた効果を発揮するものです。

ところが思春期を過ぎて骨端線が閉じてしまうと、いくら成長ホルモンを投与しても身長が伸びることはなく、一度閉鎖した骨端線も再び開くことはありません。
成長ホルモン治療をなるべく早く開始したほうが良いと言われる理由はここにあります。

成長ホルモン治療は3歳から受けることができますが注射による治療となるため、子どもへの心理的負担を考慮して5歳くらいから始めることもあります。
治療を早く始めれば成長の遅れを取り戻しやすくなるため、早期治療は成長ホルモンの効果を最大限に発揮するカギとなります。

成長曲線の記録をつけ続けることで、早期治療を始めるための大きな指標になると言えるでしょう。

思春期を過ぎて数年が過ぎると成長ホルモン治療終了となります

早い時期から成長ホルモン治療を続けていても、思春期を過ぎて数年が経過したあたりから成長ホルモンの効果が感じられなくなります。
専門医療機関でレントゲン撮影をして骨端線が閉じたことが確認されれば、成長ホルモン治療は終了となります。

子どもは成長すると脳の下垂体も成熟し、たくさんの性腺刺激ホルモンがここで作られます。
その結果、男の子は男性らしい体型に、女の子は女性らしい体型に変化し始め、二次性徴が見られるようになります。

この時期がいわゆる思春期にあたりますが、「成長スパート」と呼ばれる身長が大幅に伸びる時期でもあり、活発化した性腺刺激ホルモンの影響で身長がぐんぐん伸びます。
成長曲線を積極的に活用することで、身長が伸びる機会を確実につかみましょう。

(まとめ)成長曲線の記録を低身長の治療にどう役立てるの?

1.成長曲線の記録をつけることで低身長症などの疾患を見つけることに役立ちます

座高検査の廃止に伴い「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、子どもの発育を評価することを目的に成長曲線を活用することとなっています。成長曲線の記録をつけることで、子どもの低身長や肥満などを早期に発見することができます。

2.成長曲線の記録をつけることで低身長の治療を早い段階で開始できます

低身長の治療で使われる成長ホルモンは、思春期を過ぎた子どもに投与しても効果が出ないことがあります。成長曲線で普段から子どもの成長を把握していれば、正常でない数値が出た時にすぐに発見し、治療を早く始めることができます。

3.骨端線が閉じると成長ホルモンを投与しても身長を伸ばす効果はありません

思春期を過ぎて骨端線が閉鎖すると成長ホルモンを投与しても効果が出ないため、早期治療が成長ホルモンの効果を最大限に発揮することに繋がります。成長曲線で記録をつけ続けると、最も効果的なタイミングを選んで治療を始めることができます。

4.思春期を過ぎて数年が過ぎると成長ホルモン治療終了となります

子どもは成長すると脳の下垂体が成熟し、体型に二次性徴の変化が見られるようになります。この時期は「成長スパート」と呼ばれる身長が伸びる時期であり、やがて成人身長になると成長ホルモン治療は効果がなくなり終了となります。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
田邊雄医師
たなべ ゆう/Yu Tanabe

 

経歴
2003 年 富山県立富山中部高等学校卒業
2011 年 金沢医科大学医学部医学科卒業
2011 年 順天堂医院 初期研修医
2013 年 順天堂医院 初期研修修了
2013 年 順天堂医院 整形外科入局
2014 年 順天堂大学大学院 整形外科学講座
2013-2018 年 下記順天堂医院関連施設にて勤務・研修
(順天堂本院、順天堂練馬、伊東市民病院、宮川病院、杏雲堂病院、浅草病院、東部地域病院、賛育会病院、王子病院 等)
2018 年 日本整形外科学会認定 整形外科専門医取得
2018 年 順天堂大学大学院 医学博士取得
2018 年 SBCグループ・西新宿整形外科 入職
2018 年 西新宿整形外科  医院長
2019 年 ロコモアドバイスドクター 就任
(「ロコモ チャレンジ!推進協議会」公認)

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 田邊雄医師