小児低身長について

Q:治療の適応時期と効果は?

早期治療がおすすめです。

早い段階で診断をおこない、早くから治療を始めたほうが、治療の結果がよくなるといわれています。治療を早く始めることで、成長の遅れをとりもどせる可能性が高くなるためです。成長ホルモン治療を始めると、1年目急速に身長が伸び、その後だんだんと伸び方はゆるやかになっていきます。
骨の端にある骨端線(こったんせん)という部分で細胞が増えるのが止まると、身長の伸びも止まるため、レントゲンを撮って骨端線が閉じてしまっている場合、成長ホルモン治療は無効です。骨端線が残っていれば、成長ホルモン治療ができる可能性があります。
当院では学童期の6歳~12歳頃の治療開始を推奨しておりますが、骨端線の状況や思春期に入る年齢には個人差がありますので一度ご相談にいらしてください。

Q:費用は?

当院では自由診療のみの治療を行っております。

保険適用ではないお客様が治療の対象となります。1本カートリッジ当たり8.2万円ですが、体重により必要量が異なりますので使用本数が変わります。例えば9歳のお子様で30kgですとカートリッジ約3本となりますので、月約24万です(検査代等は含んでおりません)。こちらは目安となりますので、詳細については一度診察にてご相談ください。
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Q:通院はどのくらい必要なの?

原則的に1ヶ月に1回、来院していただきます。

定期的な採血検査・尿検査・レントゲン検査が必要になります。治療を開始した場合、基本的には1ヶ月に1回来院していただきます。
継続しての治療が基本となりますので、問題なく経過していれば2ヶ月間分のお薬を処方することもあります。

Q:成長ホルモン治療ってどんな治療?

自分の体で作られるホルモンを補う治療です。

成長ホルモン治療は、本来自分の体で作られるホルモンを補う治療です。
治療早期に頭痛や発疹、注射部に痛みが一時的に出る場合があります。ご心配なことがございましたら医師にご相談ください。

Q:去年から成長ホルモン治療を始めたのですが、今年はあまり背が伸びていないようです。

1年目と2年目以降の伸びは異なります。

成長ホルモンの治療効果は、1年目は非常によく伸びますが、2年目以降の伸びは1年目ほどではありません。しかし思春期前であれば効果は期待できます。お子様が不安になり注射のストレスが増加します。必ず定期的に診察に来ていただきます。

Q:風邪を引いているのですが、注射してもよいですか?

注射をしても問題ありません。 高熱で具合が悪い時は、短期間であればお休みしても構いません。重症度が人によって異なりますので、お電話でご確認下さい。

Q:旅行中の注射はどうしたらよいですか?

2~3日でしたら、注射はお休みしても構いません。

ペン型注入器を保冷バッグに入れて持ち運び、宿泊先の冷蔵庫で保管すれば、旅行先でも注射ができます。注射針の予備も持っていきましょう。

Q:海外旅行に行くのですが、成長ホルモン製剤を持っていけるのですか?

手荷物として持っていくことができます。

貨物にしてしまうと、貨物室内気圧や温度変化で注入器が壊れたり、注射液が凍ってしまう場合があります。また、英文の診断書を作成しますので、事前にご連絡ください。国際線の飛行機内への液体持込には制限がありますが、成長ホルモンやインスリンなどの薬剤は、機内持込が認められています。航空会社によって、取扱が異なりますので、詳しくは、ご利用の航空会社にも問い合わせて下さい。

また、出入国の際に申請が必要な場合もありますので、現地の税関にも問い合わせをしてみてください。他にも英文の医薬品製品情報(Drug information)や製品の使い方説明書もお持ちください。詳しくは、来院時にご相談してください。

基本的に毎日注射を行うことが必要ですが、旅行や合宿の際などはお休みしても構いません。お薬のことを気にしてしまって楽しめない、そんな状況は逆にストレスが溜まってしまいます。しっかり旅行を楽しんでリフレッシュしたら、また規則的な日常生活を行い、しっかりと伸ばしていきましょう。

Q:注射を打つのを忘れてしまったのですが、どうすればよいでしょうか?

数回でしたら、全く問題ありません。

Q:注射が痛いといっています。

注射する部分の皮膚をつまんで、まっすぐに針を刺してみてください。

寝てから保護者が注射しても大丈夫です。注射するところを強くおさえてから針を刺すと痛みが和らぎます。深呼吸したり、音楽などで工夫してリラックスした雰囲気で試してください。また、注射は毎日場所を変えて行ってください。

最終的には自分で注射をするよう指導してください。 小学校高学年になると、自分で注射ができるようになってきます。日頃から、保護者の方が、使用方法を具体的に繰り返しお子様に示しながら注射を行う事が重要で、お子様は抵抗なく注射ができるようになってきます。自分で注射ができる年齢は、お子様の性格や成長の度合いによって異なりますので、お子様にとってよい時期を見つけてあげてください。

Q:注射が嫌になってしまったのですが。

まずはご家族で相談し来院前に事前に状況を電話にてお伝えください。

同じような悩みをもつお子様は多いので、来院時にご相談させていただきます。

Q:注射をはじめたのですが、背が伸びるのか不安で仕方ありません。

来院時に不安をためず、必ずお話しください。

効果があまり現れない場合に、ご両親が不安を感じる場合もあります。来院時に不安をためず、必ずお話しください。始めたら根気よく治療を続けていくことが必要です。

Q:背を伸ばすために必要な食事は?

体の成長にもっとも大切なのはタンパク質です。

タンパク質は、体のあらゆる細胞を作る大切な栄養素であり、免疫力を高めたり、酵素やホルモンの産生にも関わっています。タンパク質は肉や魚、卵、乳製品、豆腐や豆類に多く含まれていて、それぞれ栄養価が異なります。 まんべんなくバランスよく食べましょう。タンパク質だけではなく、「脂肪」、「炭水化物」、「ミネラル」、「ビタミン」、などの成長に欠かすことのできない栄養素をバランスよくとるようにしましょう。

また、牛乳はカルシウムが多く含まれているので、効果があると思う方がいらっしゃいますが、カルシウムは骨を強くしても、直接身長を伸ばす作用はありません。あくまでもバランスのよい食事を心がけてください。

Q:“寝る子は育つ”は本当ですか?

本当です。

身長が伸びるのに必要な成長ホルモンは、深い眠りの時にたくさん分泌されます。十分に睡眠をとり、毎日規則正しく就寝・起床する習慣を身につけてください。

Q:運動と成長の関係を教えてください

適度に体を動かすことは成長期には欠かせない大切な要素です。

子供の運動量は大人に比べればはるかに多いものですが、最近では外で遊ぶ機会が少なくなってきています。適度な運動を取ることによって、成長ホルモンの分泌が促進され、血行が良くなり、からだに栄養が運ばれやすくなるという利点もあります。さらに、適度な運動は食欲を増進し、睡眠を取る際に大切な「熟睡」をもたらしてくれます。

Q:子供の成長に必要な事を教えてください。

子供を甘やかし、干渉しすぎると子供の精神的な成長を阻害し、自立を損なうことがあります。お子さんとの適切な距離を保って成長を見守れるように心がけてください。

また子供の生活の場である家族環境は、いろいろな面でお子さんの成長に大きな影響を与えると考えられます。最近問題になっているのが親の育児放棄(ネグレクト)や虐待などによる愛情遮断症候群と呼ばれるものです。こうしたケースでは成長ホルモンの分泌が悪くなり、身長の伸びなどにも影響があるといわれています。

また、家庭内暴力など、子供の目の前で暴力が振るわれるような場合にも子供は強いストレスを受けます。もっとも、これらは極端な例であり、多少のストレスで身長が伸びなくなってしまう心配はまずありません。大人は子供たちと触れ合うなかで、愛されていると実感させることが大切です。

子供たちと話をしたり、一緒に遊んだり、お風呂に入ったり、少しでも多くの時間を割いてスキンシップを深めてほしいと思います。残業や休日出勤、出張などで忙しくて、子供たちと過ごす時間をもてないという親御さんも少なくありませんが、子供の成長という観点からも、社会的に解決していかなければならない問題も多くあると思います。

Q:背を伸ばすためのサプリメントは??

残念ながら、直接背をのばす効果のあるサプリメントはありません。

日常生活においては、食事、睡眠、運動、周囲の環境等、すこやかに育つ環境を整えてあげてください。

Q:成長ホルモンの治療効果が無くなる(治療をやめる時期)はいつですか?

15歳ころから成長ホルモンの治療は無効になります。

成長するにつれて脳の下垂体が成熟すると、そこで性腺刺激ホルモンがたくさんつくられるようなり、その結果、性腺(男子では精巣、女子では卵巣)が刺激されて、発育が促されます。すると、性腺でつくられる性ホルモンのはたらきが活発になり、男女ともに二次性徴と呼ばれる変化が起こってきます。

女子では乳房がふくらみ、皮下脂肪が増えて女らしい体つきになります。男子では精巣やペニスが少しずつ大きくなり、筋肉量が増えて男らしい体になります。こうした大きな変化の時期を思春期と呼びます。思春期には、活発になった性ホルモンの影響で、身長もぐんぐん伸びます。これを「思春期のスパート」といいます。

女子の思春期開始の平均年齢は10歳で、それから2年もすると初経がみられます。思春期の3~4年がすぎると身長の伸びも次第に少なくなり、15歳ころには成人身長*に達します。それ以降は成長ホルモンの治療は無効です。

成人身長*:年間の成長速度が1cm/年以下になったとき、または骨年齢が男子で17歳、女子で15歳に達した場合です。