疲労骨折とは

疲労骨折とは、一度の外傷で起こる骨折ではなく、長時間の運動、激しい運動を繰り返すことなどで引き起こされる骨折です。あらゆる年齢で起こり得ますが、特に成長期である6歳~15歳頃の年齢でも多くみられます。ここでは、疲労骨折の症状・原因、起こりやすい部位、診断や治療、予防法について紹介していきます。

疲労骨折の症状

明らかな転倒、打撃などの外傷がないにも関わらず、長時間の運動後、または激しい運動後に痛みの症状があらわれ、運動をやめて休むと痛みが和らぐのが特徴的な症状です。なかでも多い足の疲労骨折では、運動中に痛みのあらわれるタイミングが段々と早くなり、足に体重がかかっていないときでも痛みが続くようになります。また、骨に負担がかかっていく過程で痛みを感じる方もいれば、痛みをあまり感じることなく、完全に骨折してから痛みで気づく方もいます。

疲労骨折の原因

疲労骨折の原因には、身体の筋力や柔軟性不足、身体の状態が不十分のままに長時間または強度な負荷をかけることや、女性の場合には無月経や骨粗しょう症などが考えられます。また、足の疲労骨折の場合には、凹足(おうそく)(足の甲が高い状態)などもあげられます。環境要因としてはトレーニング内容、クッション性の低いシューズ、地面の硬さ、柔らかさなども関係してきます。

起こりやすい部位

主に疲労骨折の50%以上は下肢で起こるとされています。なかでも多いのが、中足骨(ちゅうそくこつ・足の甲)、脛骨(けいこつ・足のすね)、腓骨(ひこつ・すねの外側の細い骨)の部位です。サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技などをおこなう選手に多くみられます。他にも腰椎や足関節内果(内くるぶし)などの部位でも起こり得ます。

さらに、特定のスポーツで多い疲労骨折などもあります。例えば、野球では繰り返しおこなわれる投球動作により肘関節に負荷がかかるため、尺骨肘頭(しゃっこつちゅうとう・肘の関節の突き出たところ)での疲労骨折がみられます。また、ゴルフのように体をひねる動作が多いスポーツでは、肋骨の同じ部位に負荷がかかり、疲労骨折を起こすことがあります。

通常の骨折と疲労骨折の違い

疲労骨折は、一度の外傷で起こる通常の骨折とは異なります。日々の長時間運動や短期的に集中して激しい運動を繰り返すことで、骨に疲労が蓄積した状態が続くことにより、不全骨折(骨にひびが入る状態)、または最終的に完全骨折(完全に骨が折れた状態)をしてしまうものです。一定の動きを繰り返す運動で生じやすく、特定の競技種目や痛みの発生部位にはある程度パターンがあるのも特徴です。

疲労骨折の診断・治療方法

運動中やその後の痛み、違和感がある場合には、その原因が疲労骨折かまたは別の怪我や病気が隠れていないかを判断するため、受診して診察を受けます。疲労骨折と診断された場合でも、その治療はさまざまなものがあります。

診断方法

まずは問診や診察で症状や患部の観察・評価、運動や生活状況などを詳しく聞き取りします。明らかな外傷がなく、痛みが続いている場合には疲労骨折を疑い、X線(レントゲン)検査をおこないます。しかし、早期の骨折段階では、骨折線がうつらず、画像は正常な場合も少なくありません。さらに詳しく調べるためには、超音波(エコー)検査、CTやMRI検査、骨シンチグラフィー(骨の組織に集まる性質のある放射性医薬品を注射して撮影する画像検査)などをおこなうこともあります。

治療

疲労骨折の治療は骨折の状態によって、保存療法か手術が必要なケースかにわかれます。
保存治療の場合には、運動やトレーニングは避け、骨に負荷がかかる活動の制限をして安静にすることでほとんどが治ります。保存治療として、超音波による骨折治療法も導入しているところもあります。そして、定期的にレントゲンなどの画像検査などで評価をおこない、段階的にスポーツ競技に復帰することができます。

しかし、完全に骨折してしまった場合、時にはギプス固定や手術が必要です。手術では、髄内釘(ずいないてい)といわれる骨を支えるスクリューを入れる治療などがあります。

また、無月経や骨粗しょう症が原因の疲労骨折の場合には、治療薬の処方なども並行しておこなわれます。治療期間は骨折の程度や部位によって差がありますが、スポーツ競技の復帰までは通常2~3か月を要します。

疲労骨折の予防方法

疲労骨折はその原因を知ることによって、予防することができます。まずは個人の要因や環境の要因について見直してみましょう。

トレーニング内容を見直す

まず個人の要因として、トレーニングの時間・頻度・強度の見直しをすることも大切です。例えば、休憩を挟みトレーニング時間を分割する、休息日を作る、単調な動きを繰り返すトレーニングを避けるなどです。特に成長時期は個人差があるので、注意が必要です。身体の硬さ、筋力のバランス状態によって、無理なフォームや強度のトレーニングをしていないかなども見直します。

トレーニング用具や環境を見直す

環境の要因として考えられるのは、サイズの合っていない、またはクッション性の低いシューズ、トレーニングをおこなう地面の硬さや柔らかさなどです。トレーニング用具や環境も同時に見直していきましょう。トレーニングによってシューズを使い分けるなどの対策もあります。

痛みを我慢しない

疲労骨折では痛みが出ないケースもありますが、運動中に痛みや違和感があった場合には、我慢せずに身体を休ませてください。痛みが続く、強くなる場合には、トレーナーやかかりつけの整形外科医などに相談をしましょう。

筋力を付ける(筋トレ)

筋力や体幹のバランス、フォームの癖によって骨に過度な負荷がかかりやすくなるため、必要な部位に筋力をつけていくことが大切です。例えば、裏もものハムストリングや太ももの内側である内転筋を鍛えることで、足の骨に過度な負荷がかかることを防ぎ、疲労骨折の予防につながります。

ストレッチをして柔軟性を保つ

筋力と同じように、身体の柔軟性の強化も大切です。運動の前後でストレッチをおこなうことで、柔軟性の改善はもちろん、筋疲労の緩和や血液循環の促進などの効果も期待されます。疲労骨折だけではなく、スポーツ傷害全般の予防にもつながります。

疲労骨折かなと思ったら

トレーニングや運動中に痛みや違和感がある、疲労骨折かもしれないと思ったときには、放置せずに対処しましょう。早くに対処することで、治療が軽く済むこともあります。

まずは運動を中止する

まずは痛みが生じる運動、部位への負荷を避け、安静にします。痛みの部位を避けて運動を続けると、別の部位に過度な負荷がかかるリスクもあるため、注意しましょう。また、痛みがあらわれた時期、部位、どのような運動・姿勢のときに痛むのかメモなどを取り、覚えておきましょう。受診する際に役立ちます。

痛みが治らない場合は病院へ

一時的にトレーニングや運動を避け、安静にしていても痛みが続く場合、または痛み以外にも腫れやしびれなどがあらわれる場合には、整形外科医の診察を受けることをおすすめします。早期診断により、症状が重くなる前に治療を始められることで、結果的に治療期間を短縮することができます。

疲労骨折について医師が解説

川原 昭久 院長
川原 昭久 院長
10歳台の男子に多くみられ、脛骨や中足骨など下肢に多くみられます。治療はスポーツを中止し安静を保つのが原則で、症例によりますが1~2か月程度の安静期間を要します。治療の一環としてリハビリテーションを行うことも一定の効果が見込まれます。
川原 昭久 院長
川原 昭久 院長

監修医師紹介

監修医師紹介

西新宿整形外科クリニック 川原 昭久 院長 Akihisa Kawahara

  • 【所属学会】
    日本整形外科学会
  • 【資格】
    日本専門医機講認定 整形外科専門医
  • 【学会発表実績(筆頭演者として)】
    神奈川整形災害外科研究会