頚肋

症状

前腕尺側と手の小指側に沿って疼くような痛み、時には刺すような痛み、しびれ感、感覚障害に加えて手の握力低下により細かい動作がしにくいなどの運動障害の症状が現れます。手指の運動障害や握力低下のある場合、甲の骨の間にある骨間筋の萎縮、手掌の小指側の筋である小指球筋の萎縮が見られます。

年代問わず起こり得ますが、肩の筋力が低下する中年世代の女性や、重い物を持ち上げる職種の方にみられます。全く症状を呈しない場合も多いです。

原因と病態

頚肋は胎生期の下位頚椎から出ている肋骨の遺残したものです。胸郭出口症候群の原因の一つとして重要となります。
上肢やその付け根の上肢帯の運動や感覚を支配する腕神経叢は、頚髄から出て来る第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成されます。しかし、頚肋のある症例では第4頚神経から第8頚神経根から形成されることが多いです。

第7頚椎から出て来る肋骨の大きさは様々です。完全な肋骨で胸骨と関節を作るものから、小さくて第7頚椎の横突起からほんの少し飛び出た痕跡的なものまであります。
途中で終わっている肋骨の先端からは索状の線維性組織が前方に伸び、第1肋骨の前斜角筋が停止する付近に付着します。
そのため、胸郭の中から出て上肢へ行く鎖骨下動脈は第1肋骨より更に高い頚肋、あるいはそこから伸びて来る索状物を乗り越えなければならなく、腕神経叢の下位の第8頚神経、第1胸神経から成る下神経幹も押し上げられ、その上にある鎖骨との間で圧迫されます。
この鎖骨下動脈と腕神経叢の圧迫によって上肢への血流障害と神経障害を生じます。

診断

なで肩の女性や重いものを持ち運ぶ職業の方で、上記の症状があれば胸郭出口症候群の原因の一つである頚肋の可能性もあります。鎖骨上窩の頚椎寄りのところの触診で、骨性の隆起を触れることがあります。この部で深部の腕神経叢部を押すと上肢に放散するような痛みを生じます。

頚肋は触診で触れないことも多く、確定診断にはレントゲン検査で第7、場合によっては第6頚椎から外側に伸びる頚肋の存在を確認することが必要です。
頚肋がレントゲン写真で認められても無症状の場合も多いので、頚肋と似た症状を呈する他の原因による胸郭出口症候群や頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、肘部管症候群、脊髄空洞症、腕神経叢腫瘍、脊髄腫瘍などを判別する必要があります。

予防と治療

症状が軽い時は、僧帽筋や肩甲挙筋の強化運動訓練を行ない、安静時も肩を少しすくめたような肢位をとるようにします。重量物を持ち上げるような運動や労働を避けるようにしてください。

症状が強い場合は、手術により頚肋およびその先端から伸びる索状物を切除します。

監修医師紹介

監修医師紹介

西新宿整形外科クリニック 川原 昭久 院長 Akihisa Kawahara

  • 【所属学会】
    日本整形外科学会
  • 【資格】
    日本専門医機講認定 整形外科専門医
  • 【学会発表実績(筆頭演者として)】
    神奈川整形災害外科研究会