膝靱帯損傷

症状

受傷してから3週間ほどの急性期には、膝の痛みと可動域制限がみられます。
しばらくして関節内血腫による腫れが目立ってくることもあります。急性期を過ぎると痛み、腫れ、可動域制限はいずれも軽快してきます。しかし、この頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。これは下り坂やひねり動作の際にはっきりすることが多いです。
不安定感があるまま放置しておくと、新たに半月損傷や軟骨損傷などを生じて、慢性的な痛みや腫れが現れます。

原因と病態

膝靱帯損傷

スポーツ外傷や交通事故などにより、大きな力が膝に加わった時に外力の方向に応じて種々の靭帯損傷を生じます。

一般には外反強制により内側側副靭帯が、内反強制により外側側副靭帯が損傷し、脛骨上端の前内方に向かう外力で前十字靭帯が、後方への外力で後十字靭帯が損傷します。最も頻度が高いのは内側側副靭帯損傷です。外側側副靭帯を単独で損傷することはとても稀です。非常に強大な外力を受けると、複数の靭帯に損傷が及ぶこともあります。

診断

診察では、膝関節に徒手的にストレスを加えて緩みの程度を健側と比較します。緩みの程度を数値で評価できる専用の機器もあり、これを使用すると診断の精度は高まります。

画像診断ではMRI検査が有用です。レントゲン写真では靭帯は写りませんが、MRI検査でははっきりと描出できます。半月損傷合併の有無も同時に評価できます。

予防と治療

■保存療法

筋力低下を最小限にとどめるために膝動揺性抑制装具を装着して、早期から痛みの無い範囲で可動域訓練を行います。受傷初期は疼痛緩和と安静を兼ねてギプス固定を行うこともあります。

内側側副靭帯損傷では、多くの場合保存的に治癒しますが、前十字靭帯損傷ではその可能性はかなり低くなるので手術を選択することが多くなります。後十字靭帯単独損傷の場合には、多少の緩みが残ってもスポーツ活動に支障をきたさないことが多いため先ずは保存療法を試みるようにします。

■手術療法

手術療法には靭帯修復術と再建術の2通りがあります。
前述の理由から、手術適応は前十字靭帯損傷が最も多いのですが、十字靭帯の治療は自家組織を用いての再建術が一般的です。手術は関節鏡を用いてできる限り低侵襲で行います。
術後は3~6ヶ月ほどのリハビリを行って、徐々にスポーツ復帰となります。

監修医師紹介

監修医師紹介

西新宿整形外科クリニック 川原 昭久 院長 Akihisa Kawahara

  • 【所属学会】
    日本整形外科学会
  • 【資格】
    日本専門医機講認定 整形外科専門医
  • 【学会発表実績(筆頭演者として)】
    神奈川整形災害外科研究会