足首の靭帯(じんたい)損傷とは、一般的には単に捻挫と呼ばれることが多いようです。主な症状は外くるぶし周辺の痛みと腫れです。足首の靭帯損傷の大半は、内側に足首を強くひねることによって外くるぶし周辺にある靭帯に起こります。足を滑らせたり、つまずいたりすることで足首の関節が可動域を超えてしまい、靭帯が強く引っ張られて損傷が起こります。
損傷の度合いは軽度から重度までさまざまで、「ねんざ」と聞くと大したケガに思えないかもしれませんが、足関節捻挫とは、実は靭帯の損傷であり、治療をせずに放置しておくと悪化してしまうこともあります。
ケガをした本人に足首をひねったという自覚があり、足首周囲の特定の部位(多くは外くるぶしとその周囲)に痛みがある、また時間の経過により腫れが生じてくることで足首の靭帯損傷(足関節捻挫)と診断されます。重度の損傷とみられる場合は、足首に負荷をかけて靭帯断裂の程度を確認します。診断の際、骨折の有無を確認するためにレントゲン写真を撮るケースがあります。また、痛みが長引く場合にはMRI検査をおこなうこともあります。
足首の靭帯損傷(足関節捻挫)は軽度から重度の損傷まで、症状によって 1度(軽度)または2度(中等度)3度(重度)の三段階に識別されます。
足首をひねって捻挫を起こしたと感じたときは、応急処置として足首を固定し安静にして冷やします。痛みが強く腫れが大きい場合には速やかに整形外科を受診しましょう。足首の靭帯損傷(足関節捻挫)にはおおむね以下のような治療を施します。
1度(軽度)または2度(中等度)の捻挫の場合、副木(そえぎ)やテーピングなどで足首を固定し、湿布薬で局所の炎症(痛みや腫れ)に対処します。症状がなくなったら足首の動きを回復させる運動をリハビリテーションとしておこないますが、捻挫をしたときと同じ方向への動作は控えます。
3度(重度)の捻挫の場合は、靭帯が断裂して足関節が不安定になっているのでギプスなどで完全に固定します。回復に時間がかかり固定している期間が長いため、回復後は足首の運動機能とともに筋力を回復するためのリハビリテーションをおこないます。
床に座って脚を延ばし、両足のかかとを合わせてつま先を外側に開く足首の運動やカーフレイズ(直立してかかとの上げ下げ)などの筋トレをリハビリテーションとしておこないます。
足関節は解剖学的に、脛骨・腓骨・距骨の3つの骨で構成されており、足関節の内果と後果は脛骨の遠位部にあたり、足関節外果は腓骨遠位部にあたります。 足関節果部骨折(脱臼骨折)は、高所からの転落・転倒や跳躍により足関節に強い外力が働くと、足関節周囲の靱帯損傷や骨折が生じます。足関節部に痛み、腫れ、皮下出血、外反変形、内反変形などがみられ、足をついて歩行することが困難になります。
受傷した原因を聞き、足関節の腫れ・圧痛・変形・皮下出血を確認してレントゲン検査で確定します。粉砕の強い場合は、CT撮影が必要になることもあります。
骨折の転位が少ない場合や、徒手整復で整復位が得られれば外固定で保存的に治療可能です。
整復位が得られても保持が難しい不安定性が強い場合や、十分な整復位が得られない場合は関節内骨折なので少しでも転位があれば手術になってきます。
アキレス腱断裂は、30~50歳でスポーツを頻繁に行う方に多く、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの運動動作でふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が急激に収縮した際や、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたりした時に起こります。ふくらはぎをバットでたたかれた感じや、硬いボールが当たった感じなどの衝撃を感じることが多く、破裂したような音がしたなど、断裂した時の音を自覚することもあるのが特徴です。
受傷した直後は、受傷肢に体重をかけることができず転倒したり、しゃがみこんだりしますが、しばらくすると歩行可能となることも多いですが、歩行が可能な場合でもつま先立ちはできなくなります。しかし、アキレス腱が断裂していても足首(足関節)は動かすことは出来ます。
アキレス腱断裂部に皮下のへこみを触れ、同部に圧痛がみられます。うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強く握り、つま先を下に動かします。正常では足関節は底屈しますが、アキレス腱が断裂するとこの底屈ができなくなります。
ほとんどの場合、レントゲン検査には写りませんが、レントゲンにより合併の有無を確認できます。
治療は手術を行わず、ギプスや装具を用いて治療する保存治療と、断裂したアキレス腱を直接縫合する手術治療があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、治療法は整形外科医とよく相談して決めましょう。
治療開始後4ヶ月ほどで軽い運動は可能となりますが、全力でのスポーツ活動ができるのには最短でも6ヶ月はかかります。
肉離れは、スポーツによって引き起こされることが多く、典型的なものは、スポーツをしているときやふくらはぎの内側の中央上部に痛みが現れ、大腿部に痛みが生じることもあります。
典型的なふくらはぎの肉離れは、下腿二頭筋の内側頭の筋肉の部分断裂です。大腿部の場合は前面は大腿四頭筋、後面の場合はハムストリングの筋部分断裂です。筋肉が伸ばされながら収縮すると、筋力に負けて部分断裂(肉離れ)を生じる場合があります。
体重をかけると痛むので、通常の歩行が出来なくなります。
運動中に強い力がかかった可能性があり、典型的な部位に圧痛があれば診断できます。時には断裂部のへこみを触れることもあります。
重症度は、筋肉をストレッチした時の痛みによりわかります。
重症度によって安静・湿布・ぬり薬・内服薬などの治療法が必要になるので、症状に心当たりがある場合には、すみやかに医師の診断・治療を受けてください。スポーツ競技に復帰される場合、ストレッチする時の痛みがなくなり、健側と同じように通常の状態の伸されている感じになるまでジャンプやダッシュは行わないでください。マッサージとストレッチは治療にも予防にも大切です。
距骨骨軟骨損傷とは、捻挫などの強い力が加わった時に距骨が脛骨や腓骨の関節面と衝突し骨軟骨損傷が生じると考えられています。しかし、明らかな怪我がなくても毎日繰り返される運動で徐々に発生する場合もあります。足関節を捻挫した時に発生することが多く捻挫後も長期に渡り痛みが続きます。
通常、スポーツ後に足関節に痛みや腫れが起きます。
基本的に、レントゲン検査で診断しますが撮影の方向によっては、はっきりしないこともあり、CT検査やMRI検査で確認する場合もあります。
外傷後、早い時期ならギブス固定などの局所の安静で治ることもありますが、陳旧例の場合は手術が必要になるケースが多いです。
再発予防として、足関節捻挫の予防と同様に足関節周囲の筋肉を鍛えてバランスをとる訓練を行いましょう。