外反母趾は、靴を履くことで、幅の狭いつま先が細くなった靴を履くと母指のつけ根から先が圧迫されて変形します。足の母指の先が人差し指のほうにくの字に曲がり、つけ根の関節の内側の突き出した部分が痛みます。その突出部が靴に当たり炎症を起こして、悪化すると靴を履いていなくても痛むようになります。
10歳代に起こるものは親指が人差し指より長かったり、生まれつき扁平足ぎみであったりする外反母趾になりやすい特徴があります。最も多い中年期のものは履物の他にも肥満と筋力低下などにより引き起こされます。
変形は見た目ですぐにわかります。痛みの程度が問題になり、親指の飛び出しを指で押すと痛む、靴を履いた時に痛む、靴を脱いでも痛むなどに分類されます。
靴を脱いでも常に痛むようになると手術が必要になります。
親指のつけ根は足の形に合うものを選びましょう。先はゆったりとした履物が好ましいです。
下記を行うことも予防に繋がります。
足の指のすべてを開くような外反母趾体操を毎日行う
両足の母指に輪ゴムをかけて足先を開く体操を行う
母指と人差指の間に装具をはめる
変形が進むと、指についている筋肉も変形を助長するように働いて、体操や装具では元に戻りにくくなります。痛みが強く、靴を履いての歩行が辛い際には手術を行います。
外反母趾の手術法には様々な方法があり、最も一般的なのは中足骨を骨切りして矯正する方法です。変形の進行の程度を確認し適切な方法を選択します。手術にかかる時間は、腰椎麻酔か局所麻酔下に1時間以内で、翌日から歩行が可能です。従来の靴が履けるようになるには2ヶ月間ほど必要になります。
扁平足は、足のアーチ(土踏まず)が低くなった、または消失し、足の裏が平らになっている状態のことを指します。幼児の頃から足裏が平べったく、大人になってもそのまま残っているタイプの扁平足の場合、痛みはあまりなく、それに対し中年以降に発症する扁平足では内側のくるぶしの下が腫れて痛みが生じます。
初期には足の扁平化は目立ちませんが次第に変形が進みます。つま先立ちがしにくくなり、さらに進行すれば足が硬くなって歩行に支障が出ます。
足が扁平化して、かかとが外を向くようになると後ろから複数の足指が見えるようになります。重症度は体重をかけた時の足のレントゲン写真で評価を行います。
腱の損傷はレントゲン像には写らないためMRI検査を行います。MRI検査は磁気で行う検査なので体に負担をかけません。
足指の筋肉はアーチを支えるのに重要です。裸足での生活を心掛けて足指を使うように日頃から意識することが予防につながります。
また、適正体重を保つことが大切です。アキレス腱が硬くなっているのでストッレッチ体操を行います。アーチの低下が明らかな場合は、アーチサポート付きの足底板が処方されます。アーチを上げることにより疼痛は緩和されます。
重症例では手術が必要になることもあります。
幼児期扁平足は、歩き始めの時期に、足の裏が平べったいことに家族が気づいて心配になり受診されることが多いです。
立って体重をかけた時には土踏まずはなくなっていますが、体重をかけない状態では土踏まずができています。足の痛みを伴うことはありません。転びやすいと感じることはありますが、歩き始めの時期は転びやすいものなので扁平足が原因ではありません。
立った時にかかとが外を向いているか、足のアーチが低下するかなどで検査します。幼児期の子どもでは足の裏の脂肪が厚く、扁平足でなくても土踏まずが分かりにくい場合があります。
重症度は体重をかけたときの足部のレントゲン検査で診断を行います。
ほとんどの場合、成長に伴い自然にアーチが形成されるため、裸足での生活を心掛けて足の指を使うことで足の裏の筋肉を鍛えるようにしましょう。つま先立ちや足の外側縁で歩く練習や、鼻緒のある履物も効果が期待できます。
アーチの低下が著しい際にはアーチサポート付きの足底挿板が処方されるケースがあります。
内反足(ないはんそく)とは、足全体が内向きで、足くびが硬く、正常な形にもどせない病気です。およそ1000人に1人ほどの発生率で、男児に多いのが特徴です。先天性内反足は生まれた時から足の変形がみられる疾患です。
そのまま放置してしまうと普通に歩行することが困難になり、変形が高度な場合には足の甲で歩くようになります。
内反足の診断は見た目から判定できます。しかし、正常な足の位置に簡単に矯正でき、足関節の動きも十分良好である場合は、胎内での不良肢位が原因のもので、真の内反足ではありません。
矯正が困難な場合や、関節の動きが不十分で堅い場合には先天性内反足と診断されます。
予防法はありません。
診断がついたら矯正ギプスによる治療を行います。週に1回くらいの間隔でギプスを巻きかえ、2~3ヶ月間治療を続けます。
ギプスだけで十分に矯正しない重症の場合、小さな皮膚切開でアキレス腱を切る手術を途中で行う場合もあります。ある程度矯正したら装具によって矯正位を維持します。どうしても十分な矯正が得られない場合には、1歳前後で本格的な手術を行うケースもあります。
矯正が得られた後も成長が終了するまで、原則的に何らかの装具は必要となります。幼児期、学童期以降に、変形の再発が見られる場合は、変形の程度に応じ追加の手術を行います。治療の第一目標は、足の裏を地面につけて歩行できる状態にするところを目指します。
モートン病は、中腰の姿勢で行う作業や、ハイヒールの常用など、つま先立ちをする格好が長時間続くことなどにより引き起こされます。槌趾変形がある場合や中腰の作業、ハイヒールの常用などで趾の付け根の関節(MP関節:中足趾節関節)でつま先立ちをすることにより、足趾に行く神経が中足骨間を連結する靱帯(深横中足靱帯)のすぐ足底部を通過するため、この靱帯と地面の間で圧迫されて生じる神経障害です。
圧迫部の近位には仮性神経腫といわれる有痛性の神経腫が形成されます。女性に多く、特に中年以降に発症します。個人差はありますが、第3〜4足趾間のしびれ・疼痛・灼熱痛などの多彩な神経症状が現れます。前足部足底の小さな有痛性の腫瘤を主訴に来院することもあります。痛みは強いことも少なくなく、時には下腿まで及ぶ場合もあります。
障害神経の足趾間に感覚障害があり、中足骨頭間足底に腫瘤と同部のティネルサインがあれば診断は確定できます。他にも足趾を背屈するか、つま先立ちを行うと痛みが強くなります。
確定診断には、レントゲン検査・筋電図検査・MRI検査・超音波検査などを必要に応じて行います。
局所を安静・薬剤内服・足底挿板・運動療法・ブロック注射などを用いて保存的治療をします。
3ヶ月ほど様子を見て症状が回復しない場合には手術が必要になってきます。
神経剥離・神経腫摘出・深横中足靱帯の切離等の手術が行われます
※詳しくは整形外科医にご相談ください。
腓骨神経麻痺は、膝の外側を走る腓骨神経が何らかの原因で圧迫され、足のしびれや感覚の低下、足首や足の指の動きが悪くなる疾患です。足首(足関節)と足指(趾)が背屈出来なくなり、下垂足(drop foot)になってしまいます。下肢の牽引等で仰向けに寝た状態が続いたり、ギプス固定をしている際に腓骨頭部が後ろから圧迫を受けるケースがあります。
ガングリオンなどの腫瘤、腫瘍、開放創、挫傷、腓骨頭骨折やその他の膝の外傷などで引き起こされます。
下垂足が発症し、前述した感覚障害があり、ティネルサイン(神経傷害部に衝撃を与えた際、その支配領域に疼痛が放散する)があると障害部位が特定できます。腰部椎間板ヘルニアや坐骨神経障害との判別が必要な場合があります。確定診断では筋電図検査、レントゲン検査、MRI検査、超音波検査などを必要と判断された場合行われます。
骨折や脱臼等の外傷、腫瘤によるものは早期に手術が必要です。原因が明らかでなく、回復の兆しが見られた場合は保存的治療にて治療を行います。3ヶ月様子を見て回復しなかったり、麻痺が進行するものの場合は手術が必要になります。 保存的療法では、圧迫の除去・回避、患部の安静、投薬、運動療法などが用いられます。
手術的療法では、骨折、脱臼などの外傷で手術が必要と判断された場合や、腫瘤のあるものは手術を行います。神経損傷が認められた場合は、神経剥離、神経縫合、神経移植の手術が行われます。手術で回復の望みが見込めないものは腱移行手術(他の筋肉で動かせるようにする手術)を行います。詳しくは整形外科医にご相談ください。
痛風は、女性よりも男性に多く、尿酸が増えすぎることによる関節炎を引き起こす病気です。尿酸は関節の軟骨や滑膜(かつまく)につき、結晶となります。関節炎は突然起こるため、痛風発作とも呼ばれます。
発症する部位は、足の親指の付け根が最も多く、足首や膝の関節にも症状が出る場合があります。
通常、2~3日歩けないほどの痛みがあり、その後、痛みは和らぎますが、治療をせずに放置してしまうと、同じような痛みを繰り返し、状態は悪化します。適切な治療をおこなわないと、腎機能障害などの重篤な病気につながる危険性があります。
痛風の検査・診断には、血液検査・尿検査・レントゲンやエコー検査が用いられます。
痛風の治療は2種類あり、痛風発作が出たときの急性期の治療(痛風関節炎の治療)と痛風発作を予防するためにおこなう高尿酸血症の治療(高尿酸血症の治療)に分かれています。
各々について治療法や処方される薬品について紹介します。
痛風のタイプに合わせて薬を処方されます。
予防のために、適度な有酸素運動を取り入れよう
痛風の予防には「適度な有酸素運動」を行いましょう。運動と尿酸との関係は深く、激しい運動ではなく「軽め」でしっかりと酸素を取り込みながらおこなう有酸素運動であることが、尿酸値を高めないポイントになります。
具体的なメニューとしては、しっかりと呼吸をしながら、ウォーキングやサイクリング、軽めのジョギングなどが良いでしょう。脈が少し早くなる程度の負荷が望ましく、運動の頻度は1回10分以上、1日30~60分程度実践するのが好ましいです。
足の慢性障害は、スポーツにより衝撃が続くと足の骨や軟骨、靭帯や腱に障害をきたし疼痛が発生する疾患です。
特に、陸上競技・サッカー・バスケットボールなどのランニングやジャンプ動作の多いスポーツでは慢性障害が多く発生します。
足の慢性障害には種子骨障害・外脛骨障害・足底腱膜炎・踵骨々端症・踵骨滑液包炎などがあります。
診察では圧痛点や痛みの局在、荷重位での足の変形などを調べます。
荷重位のレントゲン撮影をすると扁平足障害などの診断が可能です。
主に種子骨障害・外脛骨障害・足底腱膜炎・踵骨々端症・踵骨滑液包炎などの痛みの部位により診断が決まります。
治療法としては、スポーツで障害が発症したら、練習量を減らすか一定期間の休養が必要になります。
これに加え、アイスマッサージ・温浴・低周波・塗布薬などの鎮痛消炎剤の使用、ステロイド剤の局所注射、足底装具の使用などの理学療法などの対処法があります。
発生要因を考えて、その要因を取り除くことが大切です。予防方法としては以下のようなことが挙げられます。
足部のストレッチング
スポーツ後のアイシング
足にフィットしたシューズを選択
足底装具の使用