筋トレが骨端線の伸びを阻害するという医学的な根拠はありません


筋トレにより筋肉が増えても、骨端線の成長にほぼ影響はないため身長が伸びにくいということは考えられません。

なぜなら、骨端線の両端のある骨端軟骨が増殖する力は、筋肉が増える力よりもかなり強いため、筋肉が抑えることができないためです。
逆に筋トレを行うと、筋肉修復時に軟骨細胞を活性化する成長ホルモンが分泌されるため、骨の成長には有効的ともされています。

ただし、過剰すぎる筋トレは軟骨や関節にダメージを与え、骨端線を損傷するリスクがあるので気をつけなければなりません。

適度な筋トレは、筋肉を強化して運動能力を高め、骨の伸びにもよいとされています

筋トレをすると、筋肉が分厚く太くなって強化されます。
そうなると、お子さんの骨の成長を阻害し骨端線の伸びが悪くなるのでは?と親御さんは心配されるでしょう。

しかし、実は筋トレが骨の成長を邪魔する根拠というのはありません。

骨端線は、骨と骨との間に存在する骨端軟骨の集合体であり、軟骨が作られて積み重なり、硬くなって骨へと変化することで伸びていくのです。
この骨が成長する力というのは、筋肉の力よりかなり強いので、筋肉で骨の成長力を押さえつける、阻害するのはそもそも困難だという研究データもあります。

また、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンは軟骨細胞の分裂、増殖を促す作用があります。
筋トレを行うと、筋肉に負荷がかかって破壊され、新たな筋肉を合成しながら強化されていきますが、この筋肉の修復にも成長ホルモンは使われているのです。

そのため、筋トレをすることで成長ホルモンの分泌量も増えてくるので、筋トレは骨の生成にも効果的だと言えます。

過度な筋トレは関節や骨端線を損傷する可能性があり、骨の伸びにも影響してきます


筋トレといっても、色々なトレーニングがあります。
中には、関節や骨など偏った負荷がかかるものもあるので気をつけなけらばなりません。

骨の元となる軟骨細胞は柔らかく、もろくて衝撃には弱いのが特徴です。
そのため、集中的にしかも長期にわたって重い負荷を与え続けると、損傷や変形が起こり、増殖活動が滞って骨が伸びにくくなる可能性はあります。

筋トレの中でもダンベルを持ち上げたり、鉄アレイを持ったりなど負荷をかけて長時間うさぎ跳びやスクワットを行うといった筋トレは、関節などを傷めるリスクが高いため、子供の頃は控えたほうがよいと言えるでしょう。

さらに、幼少期から成長期にかけての子供の体は未発達なので、大人と同じような筋トレを課すのは、骨以外にも運動機能を損なうリスクがあります。

大人のように加圧マシンを使った筋トレはやめ、腕立て伏せや腹筋など自身の体重を使った筋トレが適していると言えます。

そして、低年齢期というのは筋肉を作るホルモンの分泌量が少なく、筋トレをせっせと行っても作られる筋肉量には限界があるのです。
そのため、きちんと筋トレを行うのはホルモン分泌量が増え始める、10歳以上の第二次性徴以降が適していると言えます。

身長の伸びには跳躍系のスポーツがよいと言われています

骨を伸ばして骨端線を成長させるには、適度な筋トレも効果的です。

さらに、骨の成長に関してとくに身長を伸ばすには縦方向の動きがある、跳躍系や全身を使うスポーツがよいとも言われています。

たとえば、バスケットボールやバレーボール、水泳などが挙げられます。

骨の中でも、身長の伸びと関係するのは背骨や大腿骨などです。
運動により上に引っ張られる力が加わることで、骨端線が刺激をうけやすく、骨端細胞がより活性化するためだと言われています。

ただ一概には言えないため、バスケットボールなどを頻繁にやっていても思うように身長が伸びないケースもありますが、一般論としては伸びやすいとされているのです。

また、マラソンなども長時間にわたり多くのエネルギーを消費し、膝などに負担がかかりやすい運動です。エネルギーを大量消費すると、脳や体が栄養不足となり成長ホルモンが分泌されにくくなり、骨の成長にも影響を及ぼすとされています。

基本的にスポーツは骨の成長には効果的ですが、やり方を間違ったり、やりすぎたりすると逆効果になる場合もあるので注意しましょう。

(まとめ)筋トレが骨端線の伸びに影響するって本当?

1.筋トレが骨端線の伸びを阻害するという医学的な根拠はありません

筋トレを行っても、骨端線の伸びが遅滞するということはまず考えられません。
適度な筋トレは、成長ホルモン分泌を促すので骨の成長にもよいですが、過剰にやりすぎると骨端線損傷につながるので注意しましょう。

2.適度な筋トレは、筋肉を強化して運動能力を高め、骨の伸びにもよいとされています

骨が伸びる力は筋肉よりも遥かに強いため、筋トレが骨端線の成長を阻害する根拠はありません。

軟骨の増殖を促す成長ホルモンは、筋トレ後の筋肉修復の際にも分泌されやすいので、適度な筋トレなら逆に骨の成長にはよいとも言われています。

3.過度な筋トレは関節や骨端線を損傷する可能性があり、骨の伸びにも影響してきます

筋トレでも体の一部に偏った大きい負荷がかかったり、長時間行ったりする場合は骨端線を損傷する可能性があります。

子供の場合は、自身の体重を利用して行う腕立て伏せなどの筋トレがおすすめです。

4.身長の伸びには跳躍系のスポーツがよいと言われています

骨端線を伸ばすには、縦方向に骨を引っ張るバスケットボールなどの跳躍系のスポーツが効果的だとも言われています。
逆に、膝や腰などに大きな負担がかかる運動や、長時間の練習は骨の成長を阻害する可能性もあるので注意が必要です。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

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運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師