腹筋のやりすぎで身長が伸びない医学的根拠はありません


腹筋など筋肉をつけすぎると、子どもの身長が伸びないという噂があります。
しかしこれは医学的に根拠がないことで、筋肉をつけすぎたからといって、身長が伸びなくなるということはありません。

そもそも成長期のころの子どもは筋肉が付きづらくなっており、筋トレをしてもほとんど筋肉が付きません。
筋肉の増量は身長が停止してからとされており、伸び盛りの子どもの場合は影響が少ないでしょう。

ある程度の運動は成長ホルモンの分泌を促します

子どもが小さいころから過度な腹筋などのトレーニングをおこなうことは望ましくありませんが、適度な運動は成長ホルモンの分泌に影響を与え、身長を伸ばすために役立つと考えられます。
どのくらいの筋トレや運動をとり入れるべきかは、専門家によっても意見が分かれています。

体幹トレーニングで適度な負荷をかける程度なら、子どもの身長を伸ばすのに弊害がないという専門家もいるようです。
これらを鍛えるトレーニングは背筋を伸ばすためにも役立つ運動で、猫背予防に効果的だと考えられています。

鍛える部分は肩やお腹、背中などの筋肉や、腰回りから太ももにかけてです。
これらはインナーマッスルとも呼ばれる部分で、体の安定に必要な運動となります。
土台がしっかりつくことで、さまざまな運動の動きやしやすくなるでしょう。
瞬発力を整えるのに最適で、子どもの危機回避能力を高めるためにもよいと考えられています。

子どもが体幹トレーニングをする場合は、無理をさせない程度にやらせるのがポイントです。
呼吸を止めないようにして、ゆっくり息を吐きながらおこないましょう。

親子で一緒に取り組むこともできますから、家族みんなで健康対策ができます。

子どもが筋トレを実践する場合は痛みがないことが重要です


子どもが腹筋などの筋トレをとり入れても、身長の伸びを阻害する影響は医学的な根拠がないといっても、子どもの体に負担がかかるほどやらせるのは考えものです。
目安としては、トレーニング後に違和感や痛みがなく、翌日に疲れを持ち越さないくらいだといえます。

あまりにも激しい運動をしてしまうと、食欲が低下して身長を伸ばす栄養補給ができなくなる場合や、睡眠が浅くなり悪影響を及ぼす可能性があります。
その日の行動に支障が出るくらい、運動をやらせるのもよくありません。

どんなことでも段階的にやらせる必要があるもので、いきなり高負荷のトレーニングをとり入れるのは無理があります。
最初は軽い負荷からはじめて、トレーニングに慣らす程度からはじめていきましょう。
本来筋トレの成果を実感しやすくなるのは、高校生くらいからです。

高校生くらいになれば性ホルモンにより骨格筋に変化が現れやすくなるため、本格的なトレーニングをとり入れても問題がなくなります。
高校生くらいになり筋トレをとり入れる場合は、バランスの良い食事と睡眠を心がけましょう。

身長を伸ばすためや、筋肉の回復のためにも、適切な食事と睡眠が必要となってくるからです。

子どもの運動は年齢に合わせたものを選ぶ必要があります

子どもは年齢によって適切な運動が求められており、年齢に合わせて種類を変える必要があります。
乳幼児は体や内臓が発達し、4~5歳くらいまでに神経系が発達してリズム感がつくのです。

幼少期にはいろいろな動きを通した遊びが適しており、スポーツの種類に特定せず、体を使った遊びをやらせるようにしましょう。
12歳くらいから体のリンパ機能が向上し、免疫力が備わってきます。

この時期には専門的なスポーツをやらせるのにも適しており、スポーツに必要なスキルを身につける運動をやらせるのもよいでしょう。
持久力が付いてくるのは、13歳ごろからです。

そろそろ有酸素運動をとり入れた運動を開始してもよくなります。
思春期までの筋トレは、専門家により意見が二分化しており、本格的なトレーニングはまだ早い可能性があるでしょう。

14歳くらいから生殖器官が発達してきて、性ホルモンの影響を受けます。
このころは、瞬発力を付ける筋トレが可能です。

思春期を早くむかえた子どもは、身長が止まる時期も早い傾向があるため、思春期の時期でも身長の伸びを判断することができるでしょう。
もともと筋肉が付きやすい体質の子どもは、男性ホルモンの影響を受けやすい可能性があります。

(まとめ)腹筋を付けすぎると身長が伸びないのは本当?

1.腹筋のやりすぎで身長が伸びない医学的根拠はありません

子どもが腹筋などで筋肉をつけすぎると、身長が伸びないというのは、医学的な根拠はありません。そもそも成長期の子どもは筋トレをしても、筋肉が付きづらくなっています。

2.ある程度の運動は成長ホルモンの分泌を促します

専門家のなかにはある程度の運動は子どもに必要で、成長ホルモンを伸ばすために最適だと考えられています。インナーマッスルを鍛える体幹トレーニングなら、子どもにも負担が少ないでしょう。

3.子どもが筋トレを実践する場合は痛みがないことが重要です

本格的なトレーニングをとり入れてよいのは、高校生くらいからです。それ以前は体に負担がない運動をとり入れていきましょう。
高校生になってトレーニングをとり入れる場合も、適切な食事と睡眠が必要です。

4.子どもの運動は年齢に合わせたものを選ぶ必要があります

乳幼児は体を使った遊びを通した運動がよく、12歳くらいからスポーツのスキルを磨く運動がとり入れられます。持久力を求める運動は13歳ごろからで、このころはまだ本格的なトレーニングは向いていません。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

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運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師