カルシウムは自律神経の交感神経の働きを抑えます


カルシウムの働きで最も知られているのは、骨を丈夫にすることですが、自律神経に作用する働きも期待できるのです。
自律神経には、交感神経と副交感神経という2つの神経があります。

カルシウムは交感神経が過剰になるのを抑え、イライラや不安、緊張などを解きほぐす効果があるとされています。自律神経の乱れは女性に多いといわれていますが、成長期の子供でも自律神経が乱れることがあるのです。

交感神経が過剰になると睡眠に影響が出る可能性があり、子供の成長にとって好ましいといえません。

子供の成長には質の良い睡眠が必要です

子供の成長には、質の良い深い眠りが不可欠です。

「寝る子は育つ」と昔からいわれているように、子供の身長が伸びることと睡眠には深い繋がりがあります。子供の身長を伸ばす「成長ホルモン」は、子供の骨にある骨芽細胞を活性化させます。

骨芽細胞は骨を伸ばし、子供の身長を伸ばす働きを持っているのです。
成長ホルモンは睡眠中に最も分泌が増えるため、よく寝る子供は身長が伸びやすくなるといえます。

交感神経が過剰になっている状態で布団に入ると、なかなか寝つけなかったり、眠りが浅くなったりします。
よく眠れない状態が続くと成長ホルモンも充分に分泌されず、子供の低身長を招く原因になるのです。

よく眠るというのは、長時間ダラダラと眠ることではありません。
成長ホルモンは深い眠りであるノンレム睡眠の時に分泌されるため、深く眠れることが大切です。
ノンレム睡眠には深さに段階があり、最も深い眠りに入った時に成長ホルモンの分泌もピークを迎えます。

たとえ眠れたとしても、浅い眠りでは成長ホルモンが正常に分泌されないことになるのです。
どれだけ深く眠れるかが、子供の身長に影響するといえるでしょう。

眠りに問題がある子供が増えているといわれています。
睡眠の改善に向けて、以下のことを心がけて自律神経を整える取り組みをしていきましょう。

  • 就寝前にスマートフォンやゲームをさせない
  • 寝る時間の2時間前までに食事を済ます
  • できれば就寝の1時間前に入浴して身体を温める

寝る前にホットミルクを飲むと、よく眠れるという説があります。
しかし、睡眠の質を高めるカルシウムやトリプトファンが作用するまでに、半日ほどかかるとされています。

ホットミルクを飲ませる場合は、時間帯を考慮しましょう。

牛乳には安眠を誘う効果があるといわれています


牛乳はカルシウムを豊富に含んでいるため、子供に飲ませれば骨を強く丈夫に育てる効果が期待できます。カルシウムには過剰になった交感神経を落ち着かせる働きがあるため、睡眠不足が気になる時は子供に飲ませると良いでしょう。
このように「牛乳=カルシウム」のイメージが強いですが、実は牛乳には健やかな眠りを誘う成分も含まれています。
それが必須アミノ酸の1つであるトリプトファンで、鎮静作用のあるセロトニンの材料となるのです。

また牛乳のタンパク質には、自律神経を穏やかにする、オピオイドペプチドという成分が含まれています。オピオイドペプチドには、眠りに入りやすくなる効果があると考えられているのです。

子供の身長を伸ばすには成長ホルモン治療を検討しましょう

子供の身長を伸ばすためには充分な栄養補給と、睡眠が欠かせません。
しかし、身長が伸びづらくなっている背景には、さまざまな要因が絡んでいます。

したがって、生活習慣の改善だけでは身長の伸びに変化が見られない可能性もあります。
子供の低身長を改善するには、専門的な治療を行っているクリニックに相談しましょう。

検査によって治療が可能と診断されれば、成長ホルモン治療を受けられるようになります。
成長ホルモン治療は子供の骨にある「骨端線」が閉じる前に、受ける必要があります。

治療を始めるタイミングが早い方が、効果を実感しやすくなります。
治療の効果を高めるには、規則正しい生活を送ることが大切です。

カルシウム以外にもバランス良く栄養素を取り入れ、自律神経を乱さないよう、睡眠環境にも気を配りましょう。

(まとめ)カルシウムは自律神経にどう働く?

1.カルシウムは自律神経の交感神経の働きを抑えます

カルシウムが持つ働きの中で最も知られているのが子供の骨を強くする効果です。
自律神経の交感神経を抑える働きがあることでも知られ、イライラや不安、緊張を解消に役立ちます。交感神経が過剰になると子供の成長に必要な睡眠に問題が生じることがあります。

2.子供の成長には質の良い睡眠が必要です

「寝る子は育つ」といわれるのは、深い眠りに入った時に、成長ホルモンの分泌が活発になるためです。睡眠の質が、子供の身長の伸びに大きく関わってくると考えられています。

3.牛乳には安眠を誘う効果があるといわれています

牛乳には豊富なカルシウムが含まれているため、子供の骨を強くする効果があるとされています。眠りを誘う効果もあるともいわれており、トリプトファンやオピオイドペプチドの作用に期待が寄せられています。

4.子供の身長を伸ばすには成長ホルモン治療を検討しましょう

カルシウムそのものには身長を伸ばす効果がないため、子供の低身長が気になる時は成長ホルモン治療を検討しましょう。栄養バランスの良い食生活を送り、自律神経を整えて質の良い睡眠を心がけると良いです。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師