成長期にはさまざまな理由から鉄分不足になりやすいといわれています


思春期は体が急激に成長する時期です。成長期のうち、12歳頃までの学童期を過ぎて思春期に入ると、急に背が伸びる「成長スパート」で、身長が1年で10cm近く伸びるともいわれています。

身長の伸びとともに栄養素が大量に使われるため、成長期の子供は体が鉄分不足になりやすいといえるでしょう。

ところが鉄分不足でも自分では、ただの体調不良と思ってなかなか気づかないという場合もあるので注意が必要です。

成長期にスポーツをしていて栄養不足になる場合があります

成長期にスポーツをしていると、スポーツをするエネルギーに栄養素を取られてしまい、体作りのために必要な栄養素が足りなくなる場合があります。身長がなかなか伸びない、体重が増えないという時には栄養素が不足しているかもしれません。

鉄分も不足しがちな栄養素のひとつです。鉄分は血液中の赤血球や赤血球内部のヘモグロビンに含まれている栄養素です。

体内で鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血になって赤血球が足りなくなるという問題が生じます。赤血球が足りなくなることで、血液が運んでいる酸素も不足しがちになるでしょう。

スポーツをしてそして大量に汗をかくと、鉄分も汗と一緒に流れ出して体内から失われます。またスポーツで筋肉量が増えていると、その分鉄もたくさん必要になります。

マラソン・剣道・バレーボール・バスケットボールなど、跳躍や走りが多いスポーツをしていると、足裏の血管内にある赤血球が壊れるために貧血になる場合もまれにあります。

成長期には大人の2~3倍の鉄分が必要といわれているので、スポーツをしているときには余計意識をして鉄分を摂取するようにしましょう。

貧血のため体調不良や成長不良になる場合があります


成長期の貧血は、ほとんどが鉄分不足が原因の「鉄欠乏症貧血」だといわれています。ただし中には骨髄中の造血幹細胞に異常がある「 再生不良性貧血」や、血管中の赤血球が破壊されて生じる「溶血性貧血」などにかかっている場合もあるかもしれません。

貧血になると、疲れやすくなる・立ちくらみ・息切れ・動悸がする・顔色が悪くなるなど、症状が見られます。

ただの疲れや一時的な体調不良と勘違いしやすいのですが、下まぶたの裏が白っぽい色になっている場合には貧血の可能性が高いといえるでしょう。

また貧血になると集中力と理解力の低下により学力が低下するともいわれています。血中ヘモグロビン値と学力偏差値を比較したところ、血中ヘモグロビン値が高い学校の方が偏差値が高かったという調査結果も出ています。

貧血は、さまざまな体調不良や身長が伸びないこと、成績が下がることなどの原因になる場合もあります。どうも体調がおかしいと思ったとき、貧血のような症状に気づいたときには、早めに医師に相談しましょう。

貧血を改善して身長の伸びや体調の安定を手に入れましょう

鉄欠乏症貧血には、不足している鉄分を補給する必要があります。鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、肉や魚などに含まれるのがヘム鉄、植物性の食品や卵、牛乳などに含まれる鉄が非ヘム鉄です。

肉や魚類に含まれるヘム鉄は体内に吸収されやすいのですが、野菜などに含まれる非ヘム鉄は吸収されにくいため、効率よく鉄分を摂取するためにビタミンCなどと組み合わせてとるようにしましょう。

そして鉄分の吸収を阻害するコーヒーや紅茶などの摂り過ぎは避けた方がよいでしょう。

血液の材料にもなる鉄分が不足すると、血液が足りなくなり、身体中に十分な栄養を運ぶことができなくなります。身長を伸ばす働きをする成長ホルモンも同様に、血液によって全身に運ばれています。

成長期なのになかなか身長が伸びない、また立ちくらみや動機がするなど体調が悪い状態が続く場合には、貧血が原因の場合もあります。

身長が伸びるのは成長期の期間だけなので、身長の伸びが気になるときには早めに専門の医師に診断してもらうようにしましょう。

(まとめ)成長期には鉄分不足になりやすい?

1.成長期にはさまざまな理由から鉄分不足になりやすいといわれています
思春期は、成長期の中でも大きく体が成長する時期です。

身長が伸びるときには身体を作るために栄養素が大量に使われるため、 栄養不足による貧血になりやすいといわれています。

2.成長期にスポーツをしていて栄養不足になる場合があります

成長期にスポーツをしていると、ポーズをするエネルギーに栄養素を取られたり、かいた汗と一緒に鉄分などの栄養が流れたりします。

また筋肉が多いと、消費する栄養もたくさん必要になるので、鉄分を多めに摂取するようにしましょう。

3.貧血のため体調不良や成長不良になる場合があります

成長期の貧血は、その多くが鉄分不足が原因の「鉄欠乏症貧血」といわれています。貧血になると、疲れやすくなる・顔色が悪くなる・集中力が落ちる、などさまざまな問題が生じます。

体調不良を感じたときには早めに医師に相談しましょう。

4.貧血を改善して身長の伸びや体調の安定を手に入れましょう

鉄欠乏症貧血には不足している鉄分を補給することが大切です。鉄分が不足すると血液が足りなくなり栄養や成長ホルモンが体中に十分に届かない場合もあります。

貧血とともに身長の伸びが気になる時には早めに専門の医師に相談しましょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師