
気になる子どもの身長の悩み
学校で列の一番前が定位置だったお友だちがいつの間にか後ろに移り、自分の子どもが前に──。「なんだかうちの子はちっとも背が伸びないけれど、大丈夫なのかしら」と、心配している親御さんがいるかもしれません。実はお子さん自身も気にしています。少しお子さんと一緒に身長のことを考えてみませんか。
成長にかかわる3つのホルモンと成長曲線
子どもの成長、特に身長に影響を与える要因として、生活環境、遺伝などが知られていますが、体の働きの中では、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンの3つのホルモンの分泌が大きくかかわっています。
生後まもない赤ちゃんはほぼ50cmの身長ですが、1歳までに1.5倍強になり、その後は少しゆるやかな伸びとなります。そして、5歳では生まれたときの約2倍強の身長(男児平均:110.7cm、女児:平均身長109.9cm)になります1)。この時期、成長ホルモンや甲状腺ホルモンが成長にかかわっていますが、一番重要なのは栄養がしっかりとれているかどうかです。
その後、学童期に入ると、年間6cm程度ずつ順調に身長が伸びていきます。男児は9~10歳ごろから急激に伸びはじめ13歳ごろをピークに、17歳ごろまで身長が伸びます。女児は8~9歳ごろから伸びはじめ、11歳ごろをピークに、15歳ごろまで身長が伸びます。その後、成長速度はゆるやかに下がっていきます。
思春期(12~17歳ごろ)に、男子では25~30㎝、女子では20~25cm程度伸びるといわれています。この時期の成長を支えているのが、成長ホルモンと性ホルモンです。ただし、性ホルモンの分泌によって、体の成熟が進むと、骨自体も大人の骨に変わり、成長が止まります。
このように身長は一定して伸びるのではなく、急激に伸びたり、ゆるやかに伸びたり、時期によって異なります。個人差はありますが、成長をグラフにすると一定の曲線が描かれます。これを成長曲線*といいます。
*成長曲線 『横断的標準身長・体重曲線(0~18歳)男子、女子』日本小児内分泌学会と日本成長学会が2000年度乳幼児身体発育調査および学校保健統計調査をもとに作成した。
治療のタイミングを逃さないよう、まず受診を
お子さんが急激に成長する時期はそれぞれ人によって異なります。小柄であることは個性の1つといえますし、スポーツなどで有利に働くこともあるでしょう。ただし、お子さんの成長の状況を正確に知っておくことは重要です。もし、ほかの子どもたちよりもいつまでも身長が伸びない場合、重大な病気が隠れていることもあります。
また、お子さんの身長が伸びる期間は限られています。一般に思春期が終わるころには身長の伸びはほとんど止まってしまいます。治療が必要な場合、成長の遅れを取り戻すためには、ある程度の時間が必要です。治療のタイミングを逃さないためにも、お子さんの成長の状態を調べて、心配なことがあれば受診しましょう。
1)文部科学省, 平成12年度 学校保健統計調査 調査結果の概
成長曲線を記入しよう!
①日本小児内分泌学会のWEBサイトで、男子用と女子用の成長曲線の記入シートを印刷することができます。
http://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html
②お子さんの成長記録を記入してみましょう。左縦軸が身長、右縦軸が体重、横軸が年齢です。
身長と体重のそれぞれで、青い曲線が数本ずつ印刷されており、平均の曲線がわかります。-2.0SDから +2.0SDの間に約95%の子どもが含まれます。
記入した曲線が、-2.0SDの曲線を下回っていれば低身長と考えられますので、医療機関に相談してみましょう。
