エストロゲンは骨端線を成長させる作用があります


エストロゲンは性ホルモンの一種ですが、主に骨の成長にも深く関係しています。
骨端線のある軟骨組織は、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンにより増殖を繰り返し、骨化して骨を伸ばしていきます。

エストロゲンには成長ホルモンの分泌を促し、骨端線を成長させる作用があるのです。
しかし、分泌量が増えると逆に骨を成熟させて、骨端線を閉鎖させてしまうこともあるのです。

エストロゲンには骨の成長を促し、成熟を進める作用があります

エストロゲンは、思春期になると活発に分泌される女性ホルモンの一種です。

主に骨の端にある軟骨細胞の増殖を促す成長ホルモンの分泌を増やし、骨の成長に作用して促進する働きがあります。
エストロゲンが分泌していれば、より骨の成長や身長の伸びが加速すると言えるでしょう。

しかし、一方で軟らかい子供の骨を硬くして、大人の骨へと成熟させるという作用もあります。そのため、エストロゲンが過剰に分泌されると逆に骨の成熟は早まる可能性があるのです。

骨の両端には、骨端線というレントゲンでは黒く見える成長軟骨帯があります。
通常骨端線が存在している、つまり開いていれば骨が成長する可能性がありますが、年齢を重ねて消失する、つまり閉じてしまうと骨の伸びがストップしてしまいます。

ただエストロゲンは分泌量が多いと、骨端線を早期に閉鎖に追い込んでしまう場合もあるのです。
お子さんの成長過程において、思春期から急激に身長が伸びて、10代後半になると身長の伸びがストップしてしまうのでこのエストロゲンの分泌が大きく関係しているのです。

思春期の始め頃からエストロゲンが分泌され始め、急激に骨の成長が進みます


思春期が始まる頃から、男女ともにエストロゲンが分泌されるようになります。

おおむね女性のほうが早熟であり思春期を迎えるのが早いので、女性は9歳半位から、男性は10歳頃からと言われており、思春期の間は骨の成長がかなり急速に進められるので、女性だと7、8㎝、男性で10㎝前後は一般的に身長が伸びるとされています。

やがて、男性は男性ホルモンからエストロゲンが分泌され始め、少しずつ量が増えることによって骨の成熟が進み、17歳前後で骨端線が閉鎖するのです。

女性の場合も、15歳前後からエストロゲンの分泌量が自然に増えて、女性らしい体つきになったり、生殖機能が成熟したりするので次第に骨端線が閉じていくのです。

エストロゲンの分泌量が多い、つまり早熟な女性の場合は骨の成長が加速するので身長の伸びが期待できます。
それと同時に軟骨の骨化も加速し、骨が硬くなり骨端線の閉鎖を早めるケースもあると言えます。

男性の場合も、エストロゲンの分泌が早い段階から始まると、思春期であっても身長の伸びが思ったよりも低調に進み、そのままストップしてしまう可能性もあるのです。

専門クリニックでは、不足した成長ホルモンを補う治療も行われています

お子さんの身長の伸びが、同年齢の子と比べても遅れていると感じる親御さんもいるでしょう。
それは思春期の年頃の子だと、エストロゲンの分泌量が関係しているかもしれません。

しかし、骨の成長を促す成長ホルモンが不足しており、思うように骨が伸びない可能性もあります。
エストロゲンは性ホルモンなので、まだ体が成熟していないお子さんに、分泌量を人工的に調節させるのはあまりよくないとされています。

ただ、成長ホルモンに関しては不足していることが分かれば、専門のクリニックでホルモン療法を受けることも可能です。
専門のクリニックでは、手の骨のレントゲン写真により骨端線の開閉状態や骨年齢、採血により血液中のホルモン量などを調べることが可能です。

そして、成長ホルモンの分泌異常があればさらに詳しい検査を実施することもあります。
さらに必要があれば注射によって成長ホルモンを注入し、軟骨細胞の増殖、骨化を促すことも可能です。

成長ホルモンといってもタンパク質の一種なので、有害性はなく安心し治療が受けられます。

(まとめ)エストロゲンが骨端線にもたらす作用とは?

1.エストロゲンは骨端線を成長させる作用があります

エストロゲンは骨の元となる骨芽細胞を増殖させる、成長ホルモンの分泌を促す作用があり、骨端線の成長にも深く関係しています。
逆に過剰分泌されると骨化が進んで骨が成熟し、骨端線を早期に閉鎖させる作用もあるのです。

2.エストロゲンには骨の成長を促し、成熟を進める作用があります

エストロゲンは骨端線の軟骨細胞を増殖させる、成長ホルモンの分泌を促し骨の成長を加速させる作用があります。
また、逆に過剰分泌されると骨の成熟を早め、骨端線を閉鎖させる場合もあると言われています。

3.思春期の始め頃からエストロゲンが分泌され始め、急激に骨の成長が進みます

思春期を迎える、女性なら9歳半頃、男性なら10歳頃からエストロゲンが分泌され、骨の成長が一気に進むでしょう。
その後10代後半になると、骨の成熟が進んで骨端線が閉鎖するので身長の伸びもストップします。

4.専門クリニックでは、不足した成長ホルモンを補う治療も行われています

骨の成長に作用する成長ホルモンの分泌異常があると、思うように身長が伸びない場合もあります。
お子さんの低身長でお悩みなら、一度専門のクリニックで検査をしてもらうことも考えてみましょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師