成長ホルモンが多すぎると、高血圧を伴う病気になるのは本当です


成長ホルモンは身長を伸ばすのに必要なホルモンですが、逆に分泌が多すぎても病気の原因になります。成長ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気を、小児で「巨人症」、成人で「先端巨大症」と呼びます。

巨人症の子どもは身長が標準偏差に比べて3倍以上離れた高身長であることが特徴的で、高血圧などの症状を伴うと考えられています。

成長ホルモンの分泌が多すぎると、巨人症という病気になります

成長ホルモンが不足すると、成長ホルモン分泌不全性低身長症と呼ばれる病気になるといいます。
つまり、成長ホルモンは子どもの身長を伸ばすために必要不可欠なホルモンと言っても過言ではありません。

しかし、逆に成長ホルモンの分泌が多すぎると、別の病気の原因となるのです。
この病気は成人で発症した場合「先端巨大症」、別名「アクロメガリー」と呼ばれています。

骨が成熟した後、30代以降で発症することがほとんどだといい、骨が伸びないかわりに変形してしまうという症状があるといいます。
思春期までに発症した場合は「巨人症」と呼ばれています。
成長ホルモンが過剰に分泌されることにより、成長が極端に進み、身長が異常に高くなってしまうのが巨人症です。

身長が高くなるだけでなく、手足が異常に長く、舌が肥大し、額や鼻、顎などの先端が肥大するのがこの病気の特徴です。
また、見た目に特徴が現れるだけでなく、頭痛を起こす、視力が下がる、歯並びが悪い、いびきが大きい、声が低くなる、汗が過剰に出るなどのさまざまな症状を伴うことがあります。

さらに、成長ホルモンの分泌が過剰に分泌され続けると、糖尿病や心筋梗塞、高血圧などを伴う可能性が高くなります。

先端巨大症や巨人症は外科的な施術で治療するのが一般的です


先端巨大症や巨人症は、脳の脳下垂体と呼ばれる小さな器官にできる良性の腫瘍が原因で起こると考えられています。
そのため、治療の第一段階として、まずは外科的な施術を行い、腫瘍を摘出するのが一般的です。
鼻から内視鏡を挿入し、鼻の奥から脳下垂体へアプローチして、腫瘍を摘出する施術になります。

しかし、外科的な施術を行ったからと言って、すぐに病気が治るとは限りません。
発見時にはすでに腫瘍が大きくなっており、腫瘍の摘出が完全にできない場合があるからです。

そういった場合には、放射線(ガンマナイフなどによる)療法や薬物治療などを行います。
薬物治療では、一ヶ月に一度薬を投与するなどの治療方法があります。

重大な病気に発展させないためにも、先端巨大症や巨人症は早期発見、早期治療を行うことが大切だといわれています。

成長ホルモン治療で巨人症になる可能性は低いといえます

成長ホルモンが多すぎると巨人症や先端巨大症などの病気になることをご説明いたしました。
一方、成長ホルモンが少なすぎると成長ホルモン分泌不全性低身長症の病気になるといわれています。

低身長症を治療するには、成長ホルモンを注射器で体内に投与する「成長ホルモン治療」が有効とされています。成長ホルモン治療により成長ホルモンの分泌が過剰になるのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、成長ホルモンの投与によって巨人症になるような副作用は、通常ではありえないと考えられています。
通常、成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療に使用される成長ホルモンの量は、巨人症や先端巨大症の方の血中濃度に比べると遥かに低い量とされています。

成長ホルモン治療により巨人症になる可能性があるとするならば、成長ホルモンの投与を過剰に行った場合だといえます。
しかし、医師が処方した投与量をきちんと守れば、巨人症を起こすレベルの副作用は起こらないでしょう。

そのため、低身長症の子どもが成長ホルモン治療を行うにあたり、「巨人症になるのでは?」という心配は要らないといえます。
いずれにしても、信頼できるクリニックで受診されることをおすすめします。

(まとめ)成長ホルモンが多すぎると、高血圧になるって本当?

1.成長ホルモンが多すぎると、高血圧を伴う病気になるのは本当です

成長ホルモンが過剰に分泌されることで「巨人症」や「先端巨大症」と呼ばれる病気になると考えられています。巨人症の子どもは身長が異常に高い特徴をもち、高血圧などの症状を伴うことがあります。

2.成長ホルモンの分泌が多すぎると、巨人症という病気になります

成長ホルモンの分泌が多すぎると、「先端巨大症」と呼ばれる病気を発症する可能性があります。この病気が思春期までに発症すると「巨人症」と呼ばれ、身長が異常に高くなり、見た目に特徴が現れます。
また、さまざまな症状をからだに起こす可能性が高いです。

3.先端巨大症や巨人症は外科的な施術で治療するのが一般的です

先端巨大症や巨人症は脳下垂体にできる良性の腫瘍が原因とされており、外科的な施術でその腫瘍を取り除くのが一般的な治療方法となります。重大な病気を起こさないためにも、早期に治療することが大切です。

4.成長ホルモン治療で巨人症になる可能性は低いといえます

成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療方法である「成長ホルモン治療」を行うにあたり、分泌が過剰になることを心配される方もいらっしゃるでしょう。しかし、一般的には成長ホルモン治療で巨人症になる可能性は低いと考えられています。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師