テストステロンは成長期に骨格や筋肉を成長させる役割があります


テストステロンは、男性ホルモンの代表的なホルモンです。
成長期の10代から20代にかけて活発に分泌され、声変わりが起こる、ひげが生える、骨や筋肉が発達する、など男性らしさを作り出します。
特に、骨や筋肉を発達させ身長の伸びに役立ちます。

成長期に急激に身長が伸びるのは、テストステロンの働きが大きく関わっています。

テストステロンと成長ホルモンのバランスが身長の伸びに関係します

子どもの身長を伸ばす、骨端線(こったんせん)の存在をご存知ですか?
骨端線は、骨と骨のつなぎ目部分のことです。
骨端線でやわらかい軟骨が増殖して骨が伸びることによって、子どもの身長は伸びていきます。

大人になり骨端線が消えると、身長の伸びはとまってしまいます。
骨端線は一度消えると再びあらわれることはないため、骨端線が出ている間が、身長が伸びる時期だといえます。個人差がありますが、骨端線がみられるのは男の子が17〜18歳頃まで、女の子が15〜17歳頃までといわれています。

骨端線の成長にもっとも影響を与えているのは、成長ホルモンです。
成長ホルモンは、肝臓でソマトメジンCというホルモンの分泌を促し、骨を成長させます。

成長ホルモンは、寝ている時に活発に分泌されますので、質の高い睡眠が成長期には大切です。
男性ホルモンであるテストステロンは、成長ホルモンの分泌を促進する働きがあり、身長を伸ばすために重要な役割を果たしています。

特に、成長期の初期は成長ホルモンとテストステロンの相乗効果で身長の急激な伸びが期待できます。
ただし、テストステロンの分泌量が増え成長ホルモンとのバランスがくずれると、骨の成長が促進され骨端線が閉じてしまいます。

テストステロンは、身長を伸ばす役割とともに、身長の伸びをとめる働きも持っているのです。

テストステロンが増えすぎる前が身長を伸ばすチャンスです


骨や筋肉を発達させ成長期に欠かせないテストステロンは、分泌量が増えすぎると、身長の伸びをとめてしまいます。
そのため、テストステロンの分泌が過剰になる前に、どれだけ身長を伸ばせるかが重要です。
また、テストステロンが増えすぎないように生活習慣に気をつけることも必要です。

睡眠時間が短い、肥満傾向がある、ストレスが多い環境などが、テストステロンを増やすといわれています。また、ハードな運動を続けるとテストステロンの分泌が活発になります。

欧米人に比べると日本人は全体的に睡眠時間が短いため、テストステロンの分泌が早く、それが身長差にあらわれているといわれています。
テストステロンの分泌を遅らせ、分泌をゆるやかにするためには、睡眠、栄養、運動の習慣が大切です。睡眠時間は、6〜13歳で9〜11時間、14〜17歳で8〜10時間が理想的です。

寝る前はスマートフォンや、テレビなどは控えて脳を休めましょう。
また、早寝早起きで生活にメリハリをつけることも大切です。

食事はバランスよく3食いただくことが基本です。
特に、骨の原料となるタンパク質と骨を丈夫にするカルシウムが身長の伸びに必要不可欠です。

運動は、走ったり、跳んだり、全身を使う運動が骨端線の軟骨の増殖に効果があるといわれています。
軽いジョギング、なわとび、バスケットボールなどがおすすめです。

テストステロンの早期分泌は信頼できる専門医に相談しましょう

思春期早発症という病気をご存知ですか?
テストステロン(男性ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌により、身体の成熟が平均よりとても早い時期に起こってしまう病気です。

男の子は、9歳までに精巣が発達し、女の子は、7歳6ヶ月までに乳房がふくらみはじめるなどの症状があらわれます。性ホルモンが早期に分泌されるため、身体の成熟、骨の成長も早くなります。

骨端線も早い時期に閉じ、低身長のまま成長期が終わる可能性も出てきます。
もし、思春期早発症の兆候がみられたら、できるだけ早く専門医に相談をしましょう。

きちんと治療をおこなえば、健康な人と全く同じ生活を送ることができます。
過剰に心配しすぎず、信頼できる専門医と一緒にお子さんの成長を見守りましょう。

(まとめ)成長期におけるテストステロンの役割とは?

1.テストステロンは成長期に骨格や筋肉を成長させる役割があります

代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、声変わり、体毛、筋肉質な身体など、男性らしさを作り出しています。成長期に活発に分泌され、骨や筋肉を発達させ、身長の伸びに大きく役立ちます。

2.テストステロンと成長ホルモンのバランスが身長の伸びに関係します

成長期には、成長ホルモンと男性ホルモンであるテストステロンが活発に分泌され、骨の成長、身長の伸びを促します。ただし、テストステロンの分泌が増えすぎてバランスがくずれると、骨の成長が加速され身長の伸びがとまってしまいます。

3.テストステロンが増えすぎる前が身長を伸ばすチャンスです

成長期に欠かせないテストステロンは、分泌が増えすぎると身長の伸びをとめてしまいます。テストステロンが増えすぎないように、睡眠、栄養、運動習慣に気をつけましょう。

4.テストステロンの早期分泌は信頼できる専門医に相談しましょう

性ホルモンの分泌により、身体の成熟が早い時期に起こってしまう思春期早発症は、身長の伸びが早い段階でとまる可能性があります。きちんと治療をすれば、健康な人と同じ生活を送ることができますので、信頼できる専門医に相談しましょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師